石川丈山
諱は重之(しげゆき)、又た凹と名づけ、嘉右衛門と称す。
丈山は字、また号。
大阪冬の役に先登して敵首を獲るも、軍令に背くを以て退けられ隠棲。
藤原惺窩の門に入りて学び、初め浅野氏に仕えるも後に辞して仕えず、詩仙堂で詩文を善くしたという。
寛文十二年、九十歳を以て没す。
- 生年
1583
- 没年
1672
富士山
仙客來遊雲外巓。神龍棲老洞中淵。雪如紈素煙如柄。白扇倒懸東海天。
仙客(せんきゃく)来(きた)り遊(あそ)ぶ雲外(うんがい)巓(てん)、神龍(しんりゅう)棲(す)み老(お)ゆ洞中(どうちゅう)淵(えん)。雪(ゆき)は紈素(がんそ)の如く煙(けむり)は柄(へい)の如し、白扇(はくせん)倒(さかしま)に懸(かか)る東海(とうかい)天(てん)。
仙人が遊びに来るような雲上の峰、神龍が棲息するような洞中の淵。雪は白ぎぬの如く煙は扇(おうぎ)の柄の如し、東海の空に白扇が倒(さかしま)に懸かっているかのようだ。