為政12

原文↑↑↑

子曰。
君子不器。

書き下し文↑↑

子曰く、
君子は(うつわ)ならず#1、と。#2

現代語訳↑

孔子が言った。
君子は器(うつわ)ではない、と。

器物は定まった形をして限界がある。
どんなに立派な器であっても、それはそれだけのものである。
君子はそうではなくて「日々に新たなり」であり、「蕩蕩(とうとうこ)として名づくる無し」である。

備考
#1器は用(もっ)て適ふこと有るを謂ふ。
言はば、君子の徳は大に用ふ可くして小さく用ふ可からざるなり。(伊藤仁斎「論語古義」)
#2君子は道(ひろ)く徳(たか)く施して可ならざること無しと雖も、然(しか)も或は事に於いて能くせざる者有り。
孔子の軍旅(ぐんりょ)を学ばず、辭令(じれい)を能くせざるの類の若(ごと)きは、其の用に(かな)はずと謂ふ可し。
然れども聖人の才の徳を論ずるときは、則ち是に在らず。
故に曰く、君子は小知すべからずして大受すべきなり、と。
(も)し夫れ(ひろ)衆藝(す)べ、小事に精悍(せいかん)なる者は、人の(よろこ)ぶ所にして遠きを致さば恐らくは(なづ)まん。
此れを以て君子を論ず可からざるなり。(伊藤仁斎「論語古義」)

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