- 備考
- #1器は用(もっ)て適ふこと有るを謂ふ。
言はば、君子の徳は大に用ふ可くして小さく用ふ可からざるなり。(伊藤仁斎「論語古義」) - #2君子は道宏(ひろ)く徳邵(たか)く施して可ならざること無しと雖も、然(しか)も或は事に於いて能くせざる者有り。
孔子の軍旅(ぐんりょ)を学ばず、辭令(じれい)を能くせざるの類の若(ごと)きは、其の用に適(かな)はずと謂ふ可し。
然れども聖人の才の徳を論ずるときは、則ち是に在らず。
故に曰く、君子は小知すべからずして大受すべきなり、と。
若(も)し夫れ廣(ひろ)く衆藝を綜(す)べ、小事に精悍(せいかん)なる者は、人の悦(よろこ)ぶ所にして遠きを致さば恐らくは泥(なづ)まん。
此れを以て君子を論ず可からざるなり。(伊藤仁斎「論語古義」)