学而5

原文↑↑↑

子曰。
千乘之國。敬事而信。節用而愛人。使民以時。

書き下し文↑↑

子曰く、
千乗(せんじょう)の国を(おさ)むる、事を敬して信、用を節して人を愛し、民を使ふに時を以てす、と。

現代語訳↑

孔子が言った。
国家を治めるには道がある、事に当たっては敬慎(けいしん)して信を存し、用いるに礼節存して人を愛し、民を使うには時宜(じぎ)を以てす、と。

千乗の国は一国としての体裁あること。
即ち戦に七万五千人を投入できる国のことで、経済・農政・外交のいずれも国家として成り立つ国をいう。
事を敬するは国家への礼、即ち国家の事を私せぬこと。
信は言をまつ人、神声を聞かんと欲する人は身を清め慎む、そのような姿を信という。
私を無くすは為政者たるの第一、国家の事を私すれば国は滅ぶ。
用を節すは臣下への礼。
国家の為に人を用い、心ある人と佞人(ねいじん)とを同一視せず。
「士は己を知る者のために死す」という如く、国家のために奔走するは士のみである。
士をくだらぬ人物と同列に扱うほど失礼なことはない。
民を使うは国民への礼。
国家の進退は国民の大事、為政者は国民を導いて国家の発展を期すべく民を使う。
方向性なくして妄りに使えば民は疲弊し国家は乱れ、時勢の宜しきを得れば国家は発展し民安んず。

事は国家、用は臣下、民は国民。
二番目の用の部分は物を節約する意にとる場合が多いが、ここでは任用と節操で解す。

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