第五条
原文


五曰。
絶㆑餮棄㆑欲。明辨㆓訴訟㆒。
其百姓之訟。一日千事。
一日尚爾。况乎累歳。
頃治㆑訟者。得㆑利為㆑常。見㆑賄聽㆑讞。
便有㆑財之訟。如㆓石投㆒㆑水。乏者之訴。似㆓水投㆒㆑石。
是以貧民。則不㆑知㆑所㆑由。臣道亦於㆑焉闕。
書き下し文

五に曰く、
餮(てつ)を絶ち、欲を棄て、明らかに訴訟を弁ぜよ。
其れ百姓の訟(うったえ)は、一日に千事あり。
一日すら尚ほ爾(しか)り、況(いわん)や累歳(るいさい)をや。
頃(このご)ろ訟(うったえ)を治むる者、利を得るを常と為し、賄(わい)を見て讞(げん)を聴く。
便(すなは)ち財有るものの訟(うったえ)は、石を水に投ずるが如く、乏しき者の訴(うったえ)は、水を石に投ずるに似たり。
是を以て貧しき民は、則ち由るべき所を知らず、臣たる道も亦た焉(ここ)に於いて闕(か)く。