第十条

原文↑↑↑

十曰。
忿棄瞋。不人違
人皆有心。心各有執。
彼是則我非。我是則彼非。
我必非聖。彼必非愚。共是凡夫耳。
是非之理。詎能可定。
相共賢愚。如鐶無端。
是以彼人雖瞋。還恐我失
我獨雖得。從衆同擧。

書き下し文↑↑

十に曰く、
忿(ふん)を絶ち瞋(しん)を棄て、人の違(たが)ふを怒らざれ。
人皆な心有り、心に各(おのおの)執るところ有り。
彼れ是(ぜ)なれば則ち我れ非なり、我れ是なれば則ち彼れ非なり。
我れ必ずしも聖に非ず、彼れ必ずしも愚に非ず、共に是れ凡夫のみ。
是非の理、詎(なん)ぞ能く定む可けんや。
(あい)共に賢愚なること、鐶(かん)の端(たん)無きが如し。
是を以て彼(か)の人瞋(いか)ると雖も、還(かへつ)て我が失を恐れよ。
我れ独り得たりと雖も、衆に従ひて同じく挙(おこな)へ。

Page Top